「カメラロールを共有」するアプリ『Picsee』の可能性

スマートフォンで撮影した写真を共有できるアプリ『Picsee』は、これまでの「共有」という体験を少し変えてくれる。家族や友人同士、あるいはグラフィカルな領域でビジネスをする人にとって便利なツールだが、アイデア次第でそれ以上の使い方が生まれそうだ。
「カメラロールを共有」するアプリ『Picsee』の可能性

12月24日に公開された無料のiPhoneアプリPicsee(ピクシー)』。いわゆる「写真共有」のためのアプリだが、親しい仲間同士で共有したカメラロールに、リアルタイムで、皆が撮影した写真が次々に共有されていく感覚が新鮮だ。

共有するカメラロールはいくつでも設定できて、それぞれに異なるメンバーを登録できる。だから例えば、遠く離れた祖父母に見せる子どもの成長記録用や、家族・友人同士の日常連絡用として使い分けることができる。ビジネスにおいても活用方法はいくらでも考えられそうで、プロジェクトベースでカメラロールをつくっておけば、アイデアの種をシェアするスクラップブックのように使えそうだ。

なにしろ撮ったそばから写真が追加されていくので、「どの写真を送ろうか」とか「どんなメッセージを添えようか」と思い悩まずにすむのがいい。そしてPicseeのミソは、まさにその「リアルタイム性」にある。

というのも、Picseeは、ネットワークにつながったスマートフォンの向こうにいる人が「いま何に心を動かされているのか」がわかるのだ。直感的にシャッターを切ったまま共有された写真からは、その瞬間の素直な気持ちを感じることができる(アプリにはもちろん、写真を選んで共有できるオプションもある)。

そうなってくると、『Facebook』にしろ『Instagram』にしろ『LINE』にしろ、これまでSNS上で「シェア」されてきた写真はどれも、「かつて感動した」ものなのだと気づかされる。何枚も撮影したあとでベストカットを選び、ときにはフィルターをかけて処理をしたものがほとんどで、実際のところは、「いま」を共有しているわけではない。

アプリにはチャット機能もついており、全画面で表示された写真1枚1枚について、コメントを交換することができる。写真共有だけでなく動画も撮影できるし、「寝ている子どもを撮影する」シーンを想定した無音撮影の機能も備えている。

そしてPicseeには、どう使ったらもっと楽しくなるか、考える余地がいくらでもある。

例えば、ライヴ会場に居合わせた全員が、Picseeのインストールされたスマートフォンをもって思い思いに撮影したとする。その写真はみんなのスマホに次々に共有されて、それぞれの視点を共有できる。ライヴヴィデオのマルチアングル視聴を参加者全員で、しかも瞬間的にやってしまう感覚は、「視覚の拡張」ともいえる新体験なのではないかと思ったりもするのだ。

TEXT BY SOTA TOSHIYOSHI