午後4時に乾燥果物 間食で仕事の能率アップ
残暑が続くこの時期は、そばやそうめんなどで軽く昼食をすませがちだ。残業を終え、自宅で夕食をとるまでに小腹が減る人も多いだろう。
料理研究家で管理栄養士の植木もも子さんは「太るからと何も食べずに深夜まで我慢していると、かえってマイナス効果を招くことがある」と指摘する。「胃が荒れる」「栄養不足で頭が働かず、仕事が進まない」などだ。
空腹感から夕食を食べすぎる人も目立つ。おかげで翌日は胃がもたれ、朝食、昼食時も箸が進まなくなる。お腹が減り、再び深夜の大食いに走る――。こんな悪循環に陥らないために、上手にとりたいのが、少々の間食だ。IFT(食品技術者協会)という団体が今年、米国のシカゴで開いた学会でも、適切な間食は食事量を抑えるのに役立つという研究報告があった。
間食のベストタイミングは、昼食がこなれてくる午後4時頃。アサヒグループホールディングス青山ハッピー研究所の調査(2012年2月実施)によると、女性の間食はチョコレート、男性はスナック類菓子が1位だった。
食と健康アドバイザーの南恵子さんは「チョコレートはリラックス作用があるGABAが含まれる。ストレス解消にはいいが、糖質が高いので食べ過ぎは禁物」と話す。スナック類の脂質にも注意したい。特に激辛スナックは胃が疲れているときは控えよう。
植木さんが勧めるのは糖質やミネラルを含むドライフルーツ。頭が疲れたときに食べるとリフレッシュできる。ナッツ、調味梅漬けも歯ごたえがあり、頭の活性化に一役買う。「いずれも保存しやすいので、デスクに常備しては」と植木さん。袋から直接つままず、1回分ずつ小分けにして食べれば適量を守れる。
南さんによれば「洋菓子より豆類のあんや寒天を使った和菓子がお勧め。糖質をエネルギーに変えるビタミンB群、腹持ちをよくする食物繊維も含む」。ビタミン、ミネラルの豊富なカットフルーツもよい。
飲み物も一工夫したい。夏バテしているときは缶入りの甘酒やコーンスープが役立つ。甘酒は冷やしておき、かんきつ系の果汁をたらすと、よりさっぱりと飲める。
また外回りから帰ってきたとき、意外に頼れるのがインスタントみそ汁だ。「かつおだしを飲むと疲労感が和らぐ。みそで汗で失った塩分も補給できる」(南さん)
残業中、空腹がつらくなったら、どうすべきだろう。
たとえば深夜に帰宅してしっかり夕食をとるより、午後7時頃に少し食べ、帰宅後はごく軽くすませる方法もある、と植木さん。少し食べる食品をコンビニで調達するなら「肥満が気になる人はバターやマヨネーズを使ったサンドイッチより、おにぎりが向く。サケ、タラコ、納豆など炭水化物の代謝を高めるビタミンB群の具が入ったものを選ぼう」。自宅で作り、冷凍したものを持っていく場合は玄米、雑穀などを入れたい。
プチトマトや旬の果物、ヨーグルトなども食べると、より栄養バランスがとれる。たんぱく質源には、脂肪分が比較的低いプロセスチーズなどがよい。
「お酒を飲む前はニンジンなどを使った野菜ジュースを、飲んだ後に仕事する場合はしじみ汁を飲むと、肝臓の働きがよくなる」(植木さん)。レトルトパウチのシジミをインスタントみそ汁に加えれば、簡単に用意できる。
職場付近のスーパー、健康食品店などを探しておくと、メニューも広がり、より間食ライフが楽しめそうだ。
(ライター 西川 敦子)
[日経プラスワン2013年9月7日付]